今回は、昔話についてお話をしたいと思います。
最近、子どもたちに昔話の絵本を見せて「このおはなし知ってる?」と聞いてみたところ、「知らない」という子どもたちが多くてびっくりしました。
某CМに出てくる三太郎などでなじみがあるように思いますが、実際子どもたちにとって昔話を見たり聞いたりする機会は減っているのかな?と感じている今日この頃です。
実は、昔話は子どもの心の成長を助けてくれて、子育ての強い味方になってくれます。
今回は、昔話に触れる良さや読み聞かせたいおすすめの本をご紹介したいと思います。
昔話についてもっと詳しく知りたい!
昔話はどうして長く伝わっているの?
昔話は長い歴史を通して、暮らしの中で人から人へ伝えられてきました。
昔話にはそれぞれに教訓やメッセージがあり、人生に役立つことを教えてくれたり、人としてどんな自分になりたいかを考えさせてくれたりします。
子どもが理解できるおはなしで、言葉のリズムが心地よく記憶に残りやすいため、人々の心に残り語り継がれています。
昔話は地域によって内容が違うの?
昔話に出てくる人や時代、場所は特定されていないので、何世代も語り継がれていくうちにその時代や土地に合ったように変えられています。
同じような昔話は各地にありますが、地域によって違いがあり、地方の特色があります。
これは日本だけではなく、世界中に似通ったお話があります。
ちなみに、「シンデレラ」によく似ている「米福粟福」という日本の昔話があります。
この昔話では、ガラスの靴の代わりに足袋が出てきます。
国や地域による昔話の違いを探してみるのもおもしろいですね。
昔話と民話って違いがあるの?
昔話は、民話の一つになります。
民話には、昔話や伝説、わらべ歌などの民謡が含まれています。
伝説は、人や時代、土地が特定されている言い伝えです。
昔話は空想上のおはなしとされていますが、伝説は真実の説話として伝えられています。
昔話のいいところ
耳から聞くだけで理解できる
昔話は、文字に書き起こさず口伝えで伝えられてきたので、耳から聞くだけで内容が理解できるように構成されています。
始めは、「むかしむかし」「とんとむかし」のように、昔話独特の語り口ではじまります。
「これから、この世では起きないようなファンタジーの世界へと連れて行きますよ」という合図になっています。
ファンタジーの世界が始まると、物語の終わりまでの出来事が一本でつながった構成になっています。
話が飛んだり戻ったりしないので、幼い子どもも理解しやすいです。
おはなしの終わりは、「めでたしめでたし」などの終わりの句でしめくくられます。
「これでファンタジーは終わり。現実に戻りましたよ。」と区切りをつけて余韻を残しています。
日常では身近に聞くことのない言葉や表現に出会えるので、語彙力が育っていきます。
子ども時代に聞いた言葉は大人になっても忘れません。
自分が主人公になれる
昔話には特定の人物や場所の設定がないので、子どもは登場人物に自分を重ねて自由に想像することができます。
おはなしの世界に入り込んで、自分が主人公になれるのです。
昔話の物語には、出産、死、遺産相続など、世の中に起きるさまざまなできごとが盛り込まれているので、人生の疑似体験ができます。
それぞれのおはなしに隠れたメッセージが込められているので、読んでいると励まされて勇気をもらえます。
心の成長を助けてくれる
昔話は、貧しい暮らしをしていたり、弱い立場にいたりする登場人物が、知恵と勇気や周りの助けで幸せになる物語が多いです。
登場人物が辛いことを乗り越えたり、誠実な人柄や努力が報われたりするようすを見て、子どもたちは心を育んでいきます。
また、昔話には登場人物の心が動いているようすがほとんど描かれておらず、物語が淡々と語られています。
なので、温かい心の登場人物と、ずるい人物の対比がはっきりと分かりやすくなっています。
時には残酷なシーンも出てきますが、大人になる過程として必要な「恐怖」や「不安」などのマイナスな感情も、読み聞かせの温かい空間の中で安心しながら覚えることができます。
年齢などによっておはなしを選ぶ配慮は必要になります。
心の安定になる
昔話には、言葉の繰り返し、行動の繰り返しがあります。
繰り返しの言葉のリズムが心地よく、聞いたり読んだりしていると心が落ち着いてほっとします。
おはなしの途中を聞き逃してしまっても、もう一度聞くことで理解ができます。
同じおはなしを繰り返し読み聞かせすることで、語り手と聞き手の共感が心のやすらぎになります。
前向きな気持ちになれる物語が多く、子ども抱えている悩みを解決するヒントになるおはなしと出会えることもあります。
また、外国のものを含めて昔話には子宝に恵まれない夫婦が心から子どもを望んでいる出だしのものがたくさんあります。
子どもたちはこのおはなしを聞いて、自分たちがどんなに望まれて生まれてきたのか、どんなに大切な存在なのかを実感できることでしょう。
本が好きになる
「本が好きな子どもになってほしい」と願っている保護者の方は多いと思います。
昔話を読むと、本の中の物語を身近なものに感じやすくなり、「自分でも本を読んでみようかな」と思えるきっかけになります。
また、昔話の言葉の心地よさが耳に残って言葉を覚えやすくなり、文章を読んだり聞いたりして頭の中で情景を想像できるようになってきます。
想像力や語彙力が育まれると、「本を読むのって楽しい!」と思えるようになります。
読み聞かせたいおすすめの本
「おはなしのろうそく」
おはなしのろうそくシリーズは、子どもたちに読み聞かせたい昔話が詰まった小さな冊子です。
耳で聞いて楽しい昔話が厳選されていて、他にもわらべうたや手遊びなども収録されています。
1973年から長く愛され、1~32までのシリーズの冊子が出ています。
読み聞かせが必要な幼児期から、一人で読めるようになった小学校中・高学年にも適しているので、成長とともに長く楽しむことができます。
「子どもに語る日本の昔話」
子どもに語るシリーズの昔話は、日本のさまざまな地方の昔話が収録されています。
方言の味わいを残しつつ分かりやすい文章で、聞きながら頭の中で想像しやすいです。
4歳から高学年までの読み聞かせにおすすめの本です。
昔話は「語る」のが一番
昔話は「耳で聞く」ことで想像力が養われます。
こちらの本は、昔話を耳で聞く良さや、昔話絵本の選び方などを紹介しています。
保護者や先生におすすめの本です。よかったら参考にしてみてください。
まとめ
今回は、昔話についてお話しました。
近年ではどんどん暮らしが便利になってきたので、
桃太郎を語ると、子どもたちは「おじいさんが山で芝刈りを」を、おじいさんが山で芝刈り機を使って作業をしていると思っていたり、
「おばあさんが川で洗濯を」は、おばあさんが川のそばで洗濯機を使っているようすを想像していたりすることがあります。
はじめは、子どもと一緒に昔の暮らしに触れながら物語を楽しむことが大切です。
お子さんとの読書タイムは、叱ることもなく一緒に楽しめる貴重な時間です。
読み終わった後に、「どう思った?」などと感想を聞く必要はありません。
一緒に読書を楽しみ、おはなしの余韻に浸る時間が大切です。
お子さんが反抗期になった時に、そっとさり気なく読んであげていた本を置いてあげてください。読み返して幼い頃のことを思い出してくれるでしょう。
この記事が少しでも参考になれば幸いです。
最後まで読んでくださってありがとうございます。