今回は、中学生以上におすすめの本をご紹介します。
中学生になると人間関係が広がり、悩みが増えていきます。
思春期の悩みを抱えているとき、人生を変えるような価値観に出会えたり、生きるヒントをもらえたりする本を紹介したいと思います。
本に慣れている小学校高学年にもおすすめで、大人が読んでも惹き込まれ、考えさせられます!
中学生以上におすすめの本
「影との戦い」 U・K・ル・グウィン 岩波書店
ゲド戦記シリーズの最初の巻です。色々な葛藤のあるゲドの葛藤や恐れや責任感が心理描写が少なく淡々と描かれているので、思春期に自分の姿と重ねて読むことができます。
魅力的な人物に出会い、主人公が成長していく物語の面白さに惹き込まれます。戦記といっても、戦いの場面は少ないです。
続編に「こわれた腕環」「さいはての島へ」があります。
「クラバート」 プロイスラー 偕成社
14歳の孤児の少年クラバートは、夢のお告げで製粉所で働くことに。そこの親方は、金曜日の夜に職人たちをカラスに変身させて、魔法を教えていました。クラバートが信頼する職人頭が不審な死を遂げます。
誰が職人頭を殺したのか。クラバートの真の味方は誰なのか。読みだしたら止まらなくなります。
クラバートのために自分の命をも惜しまない人物に心をうたれます。十代の子どもたちが、社会で成長していく物語でもあります。
「千と千尋の神隠し」にインスピレーションを与えたともいわれています。
「楽隊のうさぎ」 中沢けい 新潮社
主人公の克久は小学校でいじめにあっていたので、中学では「学校にいる時間はできるだけ短い方がいい」との方針。自分を傷つけようとしていると察知すると、心を灰色に塗り固めてしまいます。
そんな克久が吹奏楽に入部することで、自分の居場所を見つけて勇気を手にしていく物語です。吹奏楽に真剣に向き合う部員達の成長と、演奏の完成が重なって感動します。
実際の吹奏楽コンクールの課題曲が出てくるので、聴きながら読むと臨場感があります。題名のうさぎの存在が克久の心情を表しています。
「町かどのジム」 エリノア ファージョン 童話館出版
8歳の男の子デリーと80歳のジムの友情の物語です。ジムの船乗り時代の話は、とこまでが本当なのか分かりませんが、大人でも心躍る冒険物語です。
そこに心温まるエピソードが入っていて、ユーモアもあります。人生で大切なことを説教くさくなく教えてくれます。
中学生の女の子の春永は、複雑な境遇で血のつながりのない祈祷師家族と暮らしています。自分の居場所を作るために祈祷師になろうと、もがいて葛藤します。
ずっと感情を抑えて、家でも学校でも周りの人たちの顔色をうかがいながら暮らしていますが、一番分かってもらいたい相手に心が伝わったと知って、春永は大きく変わることができます。
思春期のお子さんがいる保護者の方にもおすすめです。
「ナゲキバト」 ラリー・バークダル あすなろ書房
9歳で両親を亡くした男の子ハニバルは、父方の祖父に引き取られます。ハニバルは祖父からたくさんのことを学びます。
祖父の金言が詰まっていて、大人でも心に響きます。ハニバルが大人になっても、祖父の言葉ひとつひとつが支えになることでしょう。
これを読んで自分への言葉だと受け取って支えにしてもらいたいです。
心に残った金言をひとつ。「返せないくらいの恩にできることと言ったら、いつまでもそれを忘れないで、前よりましな人間になろうと努力することだ」
「人形の家」 ルーマー・ゴッデン 岩波書店
ある姉妹にかわいがられている人形たち。人形たちは自分たちで環境を変えることはできません。持ち主によって人形の幸せが左右されます。
上の立ち場から押し付けられた価値観で生きなければならない人間社会の縮図のような人形たちの世界。
自分の思い通りにできない人形たちの気持ちに共感できて、生き方を考えさせられる作品です。
「ばら色タイムカプセル」 大沼紀子 ポプラ社
13歳で家出をして老人ホームで住み込みで働くことになった奏。奏は大人の期待通りにいつもいい子でいようとしてきたので、心のバランスが崩れてしまいます。それでも無理して平気なふりをしています。
オーナー姉妹とホームに暮らすパワフルな女性たちと接していくうちに、奏の中にしまい込んでいた感情が徐々に開放されていきます。
後半はミステリーの要素もあって、読みごたえがあります。
「秘密の道をぬけて」 ロニー・ショッター あすなろ書房
「奴隷制度」があった頃の事実をもとに書かれています。逃亡奴隷を自由な土地へと逃がす「地下鉄道」という秘密組織があり、15万人もの奴隷を助けたそうです。
この物語は、「駅長」と呼ばれる逃亡者をかくまう人の一家の娘アマンダが主人公です。アマンダの勇気に心が揺さぶられます。
歴史では習わない南北戦争前の史実を知ることができます。
少女チューリップは父親から虐待を受けて、心がすさんでしまいます。そのため、ひどいことをして大人を困らせます。
そんなチューリップが罪を犯さないように寄り添っているナタリー。チューリップがナタリーの友情で改心するなんてありきたりな話ではありません。思春期の人間関係がリアルに描かれていて、自分だったらどうするだろうと考えさせられます。
大人にも読んでほしい一冊です。
フラワー・ベイビー アン・ファイン 評論社
男子校の落ちこぼれのクラスの生徒たちは、フラワー(小麦粉)が3キログラム詰まった布袋を渡されます。この布袋を赤ちゃんに見立てて、三週間面倒を見るように言われます。人間の赤ちゃんをお世話するように接して、育児日記を書く宿題です。
最初は反発していた男子たちも、次第に自分自身を見つめるようになります。この体験はぜひ中学校や高校で取り入れてもらいたいと思いました。
うそつき マロリー・ブラックマン ポプラ社
学校にも家庭にも居場所のない少女ジェンマは、転校生のマイクに同じものを感じて近づきます。マイクも人に知られたくない境遇で、転校先では友だちができるのではと期待しています。
本当は仲良くなりたいのにお互いに傷つけあってしまう二人。最後には勇気を出して一歩踏み出していく二人です。
バッテリー あさのあつこ 教育画劇
巧に共感したり、憧れたりしながら読める一冊です。人間関係に悩む女子にもおすすめです。
野球で分からないことはお父さんに聞いてみて、親子のコミュニケーションのきっかけにしていくのもいいですね。
アルジャーノンに花束を ダニエル・キイス 早川書房
幼児の知能しか持たないチャーリー。職場でいつも嘲笑されていますが、本人は悪意とは思いません。
そんなチャーリーに転機が。チャーリーの知能を上げる手術をしてくれると大学の偉い先生にいわれます。
チャーリーの手術は成功し、どんどん知能が上がっていきます。そのため、今までは悪意と感じなかった扱いが、自分を馬鹿にしているものだと気がついてしまいます。人の幸せとはなにか、深く考えさせらます。
穴HOLES ルイス・サッカー 講談社
無実の罪で矯正キャンプに入れられたスタンリー。そこではひたすら穴を掘らされます。納得できないスタンリーは黒人少年ゼロと、決死の脱獄をします。
不運な人生を送ってきたスタンリーは、その借りを返すことはできるのか。スタンリーのプライドをかけた挑戦に手に汗握りながら読めます。
もう一つの物語「道ROAD」、穴HOLESの仲間が活躍する物語「歩く」もおすすめです。
読書で身に着けた力は社会でも活かせます
読書の習慣を身に着けると、学生時代だけでなく社会に出てからも役立ちます。
たくさん本を読むと、多くの考えや価値観に触れることができます。
何か失敗したときも、くじけず解決に向けて考える力が身についていきます。
また、相手の気持ちを理解して、自分の考えを相手に分かりやすく伝える力も養われます。
1冊夢中になれる本に出会えたら、読書の習慣につながっていくと思います。
この記事を、読書の習慣のきっかけに役立てていただけたら幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。