今回は、小学校高学年に読んでほしい本をご紹介します。
高学年になると、友達との関わりが増えてきて、自分のことを客観的に見ることができるようになります。
読書は、この時期に大切な自己肯定感や思いやりを育む心の栄養になります。
今回紹介する本は、大切なことを教えてくれたり、悩んでいるときに元気をくれたりする素敵な本ばかりです。
本が苦手な中高生にもおすすめです。
高学年におすすめしたい本
「おじいさんのランプ ―新美南吉童話集」新美南吉 岩波書店
新美南吉の故郷を舞台に書かれた物語が12編入っています。新美南吉の作品は教科書に載っているので、身近に感じると思います。
「おじいさんのランプ」は風景が目に浮かんでくる描写と、おじいさんの潔さに感銘します。これからの人生にヒントをくれます。
「がんばれヘンリーくん」 ベバリイ・クリアリー 学習研究社
どこにでもいる男の子が主人公で、誰にでも思い当たる出来事のおはなしです。子どもたちが自分のことのように物語に入り込めます。
読みやすい文章にグイグイ惹き込まれて、夢中になって読み切ってしまいます。
愉快な事件にクスッとして、肩に力を入れずに読めます。親子で楽しむのもおすすめです。
続編や姉妹本がたくさんあるので長く楽しめます。
「クローディアの秘密」 E.L.カニグズバーグ 岩波書店
11歳の少女が主人公です。ある日、日常から飛び出していきたくなり、弟を連れて家出をします。
家出先がメトロポリタン美術館というのがワクワクします。謎解き要素もあって、読みだしたら夢中になって止まりません。
繰り返しの日常から解放されたい気持ちは、どの世代でも共感できます。大人だってそういうとき、ありますよね。
「しずくの首飾り」 ジョーン・エイキン 岩波書店
妖精や魔法使いが登場する短編7話が入っています。どのお話も、続きが気になって飽きずに読めます。
心がほっこり温まって、悩んでいるときに読むと癒しを与えてくれます。空想の物語に合った美しいシルエットの挿絵も素晴らしいです。
「シャーロットのおくりもの」 E.B.ホワイト あすなろ書房
映画になった有名な物語です。一匹だけ小さく生まれたこぶたのウィルバーは、その家の女の子にかわいがられていました。しかし大きくなると、農家に売られ殺されることになってしまいます。クモのシャーロットは、ウィルバーを助けるために頑張ります。
納屋は人間社会の縮図のようで、子どもたちは自分を動物たちに重ねて模擬体験していきます。「友情と命の大切さ」について考えさせられる一冊です。
「せいめいのれきし」 バージニア・リー・バートン 岩波書店
地球の誕生から始まり、地球上の生命がどう変化していったのかが分かる絵本です。
自分たちの地球を大切にしたいと思えます。道徳的な話をするよりもこの絵本を読むと、美しい地球に生まれたことへ感謝の気持ちがわきます。そして後世のために守りたいと思えます。
舞台劇の設定がよく、絵の美しさも楽しめます。大人でも興味深く読めます。
「小さい牛追い」 マリー・ハムズン 岩波書店
ノルウェーの作者の子どもたちをモデルに書かれた物語です。4人の子どもたちが、両親を助け水汲みやまき割り、牛追いをしています。子どもたちは自分が役に立っていることを実感して、いきいきと仕事をしています。
子どもたちがもらったお駄賃の使い道に泣かされます。両親の子どもへの信頼も心に響きます。
日本の恵まれた環境にいると想像しにくい生活ですが、この物語で疑似体験ができて子どもたちが成長できると思います。
「秘密の花園」 フランシス・H・バーネット 福音館書店
メアリはわがままで偏屈な女の子。10歳で孤児になってしまい、叔父に引き取られます。お屋敷には誰も入ることが許されない秘密の庭園があります。ある日、お屋敷のどこからか子どもの泣き声が聞こえてきます。
たくさんの映像や舞台になっている名作です。悩んでいるときに励まされ、勇気をもらえます。
「山のトムさん」 石井桃子 福音館書店
東北の山あいで開墾者として移り住んだ家族の物語。家族の最大の敵はネズミ。そこでネコのトムさんを飼うことにします。数々のハプニングやピンチを乗り越える一家の武勇伝がユーモアを交えて書かれています。
戦後の農村の暮らしを知ることができて、何か大切なことを受け取れる物語です。
「トムは真夜中の庭で」 フィリパ・ピアス 岩波少年文庫
トムは、弟がはしかにかかったので夏休みにおじ夫妻にあずけられます。そこで柱時計が13も時を打ち、トムは不思議な体験をします。時間を旅して、女の子と友達になります。
登場人物の心理が細やかに描かれています。様々な悩みを持つ思春期に響く物語です。感動的なラストを迎えます。
本は人生の支えになります
たくさんの本を読むと、さまざまな価値観に出会うことができます。
自分とは違う考えに触れて理解することで、自分のことも人のことも尊重できる心を育んでいきます。
また、読書を通して人の気持ちを考える想像力が養われて、相手を思いやる心を育てることにもつながります。
クリスマスプレゼントに本はいかがですか?
「えー!ゲームがよかったのに!」と子どもはがっかりするかもしれませんね(笑)
今の時代はゲームやスマホなど、簡単に面白いものが手に入ります。
本は、最初は面白くないなあと思っても、頑張って読むときっと面白くなります。
我慢をすることで読み終わった時の達成感があり、その成功体験が自信につながります。
読書は心を強く柔軟にすることができると思います。
私は子どものころに買ってもらった本には、もらった年月日を書き込んでいました。
何度も何度も読み返して、大人になって実家に帰省した時にも引っ張り出して読みました。
現在の自分を支えてくれているものの一つだと思います。
子どもにとって、後に心の支えになる本を読ませてあげたいですね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。