子どもに「絵本の読み聞かせをしてあげたい!」と考えている方は多いと思います。
それに加えて、子どもにおはなしを朗読して聴かせる「語り聞かせ」をおすすめします。
おはなしを聴く体験をすることで、絵に頼らずに耳で聞く力が育ち、想像力が養われます。
また、聞いたことを自分の頭の中で整理することができるようになります。
今回は、語り聞かせにおすすめの本・おはなしを紹介します。
子どもが入り込めるおはなしばかりです。ぜひ読んでみてください。
長く使えるおすすめの本
「おはなしのろうそく」全32巻 東京子ども図書館
短い昔話が数編入っている小さな本です。シーンや子どもの発達などに合わせておはなしを選べます。わくわくドキドキするおはなし、大笑いするおはなしなど…子どものお気に入りのおはなしが必ず見つかるでしょう。
「愛蔵版おはなしのろうそく」(全12巻)は、おはなしのろうそくを子どもが自分で読めるように、文字を大きく挿絵も多く入れてあります。
「こどもに語るシリーズ」 こぐま社
子どもに語るシリーズは、日本をはじめとして外国の昔話や、アンデルセン・神話・アラビアンナイトなどが収録されています。
一つのおはなしの長さがちょうどよく、子どもにとって聞きやすいです。
日本の伝統の文化や地域の方言の温かさを味わえます。
幼児期から高学年向けのおはなしが載っているので、長く読めます。
はじめの語り聞かせはコレ!おすすめのおはなし
どれから読んだらいいか分からない!という方へ、初めての語り聞かせにおすすめのおはなしを紹介します。
紹介した本に収録されている中で、易しいおはなしから順に紹介していきますので、目安にしてもらえたらと思います。
これらのおはなしは短いものが多いので、ゆっくりと語っていただけたらと思います。
「おいしいおかゆ」 おはなしのろうそく1愛蔵版1 こどもに語るグリムの昔話1
貧乏な女の子が森で食べ物を探していたら、おばあさんが不思議なお鍋をくれます。
そのお鍋は「ちいさなおなべや、にておくれ」というだけで、おいしいおかゆを煮てくれます。
女の子のおかあさんがまねをして、お鍋に頼みますが止め方が分からず、町中がおかゆでいっぱいになってしまいます。
どの年代の人も想像しやすいおはなしなので、誰でも楽しめます。
「世界でいちばんきれいな声」 おはなしのろうそく11 愛蔵版
子ガモが広い世界を見たいと思って歩いていくと、子猫に会います。子猫の泣き声がかわいいと思って真似をしますが、上手に鳴けません。そうやって色々な動物に会って鳴き声を真似しますが、上手に鳴けません。最後におかあさんの鳴き声を真似て上手にできた時の喜びが、自分の事のように思えます。
「こすずめのぼうけん」 おはなしのろうそく13 愛蔵版7
初めて飛べるようになった子すずめが、おかあさんの言いつけを守らず、遠くまで飛んで行って疲れてしまいます。他の鳥の巣で休ませてもらおうを頼みますが断られてしまいます。
子どもの気持ちに沿っているおはなしなので、共感して聞くことができます。
「鳥のみじい」 子どもに語る日本の昔話2
山で仕事をしていたおじいさんが、ちいさい鳥を吞み込んでしまいます。おじいさんのおへそから鳥の尾っぽが出てひっぱると、おなかの中で歌うように鳴きます。殿様に聴かせるとたくさんのほうびをもらえました。
「なら梨とり」 おはなしのろうそく6 愛蔵版3
病気の母親がなら梨が食べたいと言います。三人の息子たちが順番になら梨をとりに出かけますが、上の2人は沼の主にのまれてしまいます。三番目の息子はなら梨を取ることができ、兄たちを助け出して無事に帰ってきます。繰り返しのおはなしなので、理解しやすく聞きやすいです。
「エパミナンダス」 おはなしのろうそく1愛蔵版1
元気な男の子のエパミナンダスは、おかあさんの言いつけでおばさんのところへお使いに行きます。その度にもらったものを台無しにしてしまいます。エパミナンダスには悪気はなく無邪気なところが笑えるおはなしです。
「赤ずきん」 こどもに語るグリムの昔話5
おはなしの緊張と緩和が心地よいので、知っているおはなしでも飽きずに聞けます。
「ホットケーキ」 おはなしのろうそく18 愛蔵版9
「ついでにペロリ」 おはなしのろうそく6 愛蔵版3
おかゆの番を頼まれたネコは、美味しそうなおかゆを食べてしまいます。お鍋も吞み込んでしまい、帰ってきたおばあさんも呑み込み、そのまま歩いて行って出会ったものをどんどん呑み込みます。ナンセンスなおはなしが子どもは大好きです。
「牛方とやまんば」 おはなしのろうそく8 愛蔵版4
やまんばに食べられそうになった牛方が、機転をきかせてやまんばをやっつけるおはなし。
怖がりのお子さんには向かないので気をつけてくださいね。
「おおかみと七ひきの子やぎ」 おはなしのろうそく18 愛蔵版9
おかあさんが出掛けて子やぎたちだけで留守番をしていると、おおかみがやってきておかあさんのふりをします。子やぎたちは頑張りますがだまされてしまいます。助かったのは一匹だけ。帰ってきたおかあさんとおおかみをやっつけます。
「人間なんてそんなものですね」のせりふは小さい子には分かりにくいので、読まないほうがいいと思います。
「かしこいモリ-」 おはなしのろうそく1 愛蔵版1
親に捨てられた三人姉妹が、森の中で家を見つけて食べ物をもらおうと行くと、それは人食いの大男の家でした。一番下のモリ-はかしこい女の子で、逃げることができます。そのことを王様に話すと、条件を出されてクリアできれば三人が幸せに暮らせるようにすると言われます。
明るく元気なモリ-と一緒に冒険できるおはなしです。
「北風に会いに行った少年」 おはなしのろうそく13 愛蔵版7
貧しい少年が大事な粉を、北風に飛ばされてしまいます。困った少年は北風に粉を返してもらいに行きます。北風は粉のかわりに魔法のテーブルかけをくれます。しかしそのテーブルかけを、宿屋で盗まれてしまします。再び北風のところへ行き、金貨を出す羊をもらいますが、また宿屋で盗まれます。三度目で北風にもらったもので宿屋で反撃に出て取り返すことができます。
「金いろとさかのおんどり」 おはなしのろうそく3 愛蔵版2
金色とさかのおんどりを狙うきつねと、おんどりを守ってくれるネコとツグミの攻防が楽しいおはなし。おんどりがきつねの誘惑にのってしまう情けなさがおもしろいです。
「こびととくつや」 こどもに語るグリムの昔話6
貧乏な靴屋にこびとがやってきて靴を仕上げてくれます。その靴は高値で売れて、靴屋の暮らしは楽になります。こびとにお礼をする靴屋の夫婦。ほのぼのとした温かいおはなしです。
「三枚のおふだ」 おはなしのろうそく5 愛蔵版3
お寺の裏山に栗拾いにいった小僧さんが、ばあさまに誘われて家に行き栗をごちそうになります。夜中に目を覚ますと、はあさまは鬼婆になっていて、慌てて逃げ出しますが鬼婆は追いかけてきます。和尚さんにもらった願いが叶う三枚のお札を使ってやっとお寺に飛び込みます。和尚さんと鬼婆のやりとりがおもしろくすっきりとします。
「七羽のからす」 おはなしのろうそく10 愛蔵版5 こどもに語るグリムの昔話3
からすに変えられた七人の兄を助けるために旅に出た女の子。兄さんたちの呪いを解くまでの道のりを丁寧に書かれているので、一緒に経験した気持ちになり、自分も困難を乗り越えられた達成感を味わえます。
「かにかに、こそこそ」 おはなしのろうそく17 愛蔵版9
山で仕事をしていたおじいさんはかわいいカニを見つけ、家で飼うことにします。しかし、おばあさんは美味しそうなかにを茹でて食べてしまします。おじいさんは悲しみかにの甲羅を焼いて埋めお墓にします。残った灰をまくと黄金の花が咲きます。おじいさんの優しさが報われてほっとします。
「ねずみじょうど」おはなしのろうそく3 愛蔵版2
そばもちを道端の穴に落としたおじいさんは、そばもちをもらったねずみにねずみの世界に招待されます。お土産までもらって帰ってきたのを見て、隣のじいさんが真似をして痛い目に遭います。
「番ねずみのヤカちゃん」おはなしのろうそく18 愛蔵版9
人間の家の壁の隙間に住んでいるねずみの一家。子ねずみのヤカちゃんは、とてつもない大声の持ち主で、おかあさんは人間に見つかるのではと心配でたまりません。そんなヤカちゃんは大声を活かして泥棒を撃退します。長いおはなしなので、時間のある時にどうぞ。
楽しく聴く体験をしよう
子どもにとって大変なのは、人の話をじっと座って聞くことです。
耳だけで聞いて理解できるようになれば、集中して聞けるようになります。
聞く力を身に着けるためには、耳だけでも理解できるように考えられたおはなしを聞く体験をすることが大切です。
ゆっくりと読んで、読み終わるとそっとしておき、自分で考える時間を持たせましょう。
心を安定させる効果もあるので、寝る前にもおすすめです。
同じおはなしを読んでほしいと言われたら、何度でも読んであげましょう。
繰り返し聴くたびに、その物語への理解や想像が深まっていきます。
新しいおはなしと、読んで欲しがるおはなしを組み合わせるといいですね。
楽しいおはなしの時間をつくってみてください。
この記事が参考になれば幸いです。