先日、TBSラジオの「宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど」という番組に、盲導犬ユーザーの方が出演されていました。
盲導犬を連れているときに、困ったことや理解してほしいことなど、盲導犬ユーザーのリアルな声を聞くことができました。
私自身知らなかったこともたくさんあり、多くの人の理解が助けになると感じたので、その内容をご紹介したいと思います。
ぜひお子さんにもお話していただけると幸いです。
盲導犬について知っておきたいこと
日本盲導犬協会のHPによると、日本で最初の盲導犬は、1939年にドイツで育ち訓練を受けた4頭のシェパード犬だそうです。
1967年に日本盲導犬協会が設立されました。
現在では900頭弱の盲導犬が実働しているそうですが、まだまだ足りないのが現状です。
盲導犬になるまで
盲導犬に向いている性格の両親から生まれた子犬が、盲導犬の候補になります。
生後2ヵ月までは、母犬と兄弟たちと過ごします。
その後は「パピーウォーカー」と呼ばれるボランティアの家族に引き取られて育ちます。
人間に対し親しみと信頼を持てるように、愛情たっぷりで育てられます。
1歳になると、訓練センターに戻り、いよいよ訓練が始まります。
盲導犬の仕事
盲導犬の主な仕事は
*角を教える
*段差を教える
*障害物を教える(避ける)
の三つです。
あくまで盲導犬の仕事は、盲導犬ユーザーの歩行をサポートすることです。
ユーザーの頭の中にある地図をもとに、盲導犬に指示を出しています。
盲導犬は、カーナビのように目的地に連れて行ってくれるわけではありません。
道を尋ねると、盲導犬に向かって「わんちゃん、この道をあっちに行くんだよ」と教える方もいるそうで、とても困るとおっしゃっていました。
盲導犬を借りるには
- 盲導犬は日本盲導犬協会や自治体に申し込みをして借ります。費用は無料ですが、餌などの費用はユーザーが支払います。
- 盲導犬の訓練士と面談をして、歩き方にあった盲導犬をマッチングしてもらいます。
- 盲導犬と一緒に合宿をして訓練をします。盲導犬との歩き方、世話の仕方を学びます。盲導犬と仲良くなるために、楽しく訓練をするそうです。
ユーザーが困っていること
1.お店や医療機関で利用を拒否される
盲導犬は、健康管理や衛生管理をきちんとされています。
そのため、法律でも拒否をしてはいけないと決められているのですが、なかなか知られていないのが現状です。
ユーザーさんは、盲導犬の敷物を持参するなど気を遣っているそうです。利用できるお店が増えることを願っています。
2.盲導犬は信号を理解できない
信号が有るところで盲導犬は止まりますが、それは段差があるからで、信号を理解しているからではありません。車や歩行者の音で、赤なのか青なのかをユーザーが判断しています。
近くに居る歩行者さんが、「青になりましたよ」と声をかけてくださると助かるそうです。
3.声をかけられると困るタイミングもある
リズムよく歩いている時に、「なにか助けがいりますか?」と呼び止められるのは困るそうです。
4.悪気の無い言葉に傷つく
お子さんが「あのワンちゃん、何してるの?」と尋ねたときに「あれは、目の見えない人を助けているんだよ」と言われると悲しくなるそうです。
悪気なく言っていても、「目の見えない人」という言葉に傷ついています。
5.盲導犬がかわいそうと言われる
周りの人から、「盲導犬は人間のために働かされてかわいそう」「盲導犬はストレスが高くて寿命が短い」と言われると悲しいそうです。
どちらも誤解で、盲導犬はパートナーであって、命令して働かせているのではありません。徹底して栄養管理や衛星管理をしているので長生きをしているそうですよ。
理解してほしいこと、お願いしたいこと
1.触ったり、食べ物を与えたりしないで欲しい
盲導犬はお仕事中は、ユーザーの指示に集中しています。
その集中の妨げになることをされると危険になります。
2.盲導犬の名前を聞いたり呼んだりしないで欲しい
盲導犬は訓練をしている時に、「名前を呼ばれると褒められる」という体験しているので、名前にとても反応します。
歩いている時に他の人が名前を呼んでしまうと、そちらを向いたり、駆け寄ってしまったりすることがあります。すると、ユーザーの指示が正しく伝わらなくなります。
盲導犬は完成した形で貸し出しているのではなく、ユーザーと日々訓練をしているようなもので、段々と学んでいっています。毎日が訓練なのです。
3.特別視をしないで欲しい
私たちを「生活の中に自然なことだと受け入れてもらいたい」、「『やさしく無視』をして見守って欲しい」とおっしゃっていました。
理解や思いやりが助けに
周囲の人が盲導犬について知り、理解することが盲導犬ユーザーの助けになるのだと感じました。
盲導犬と歩くのは、白杖で歩くよりずっと速く安全に歩けるそうです。Mさんはせっかちで、白杖でも速く歩きたかったそうです。よく電信柱にぶつかってしまうので、つばのついた胞子を被っていたそうです。盲導犬のおかげで安全に早く歩くことができて、幸せなことと思います。
しかも孤独ではないので、道に迷った時も楽しく迷えると、Yさんは明るく話されていました。
子どもは、盲導犬を見ると興味津々で「あそこにわんちゃんがいる!」と触ろうとすることがあります。
Mさんが盲導犬を連れて歩いていたときに、あるお母さんが「あの犬はお仕事中だから邪魔しちゃだめだよ。」とお子さんに言いました。「何のお仕事?」と尋ねるお子さんに「おうちに帰ったら教えてあげるね」と言って、そっとそばを離れてくださったことに感動されたそうです。
優しさや思いやりの輪が広がりますように願っています。
読んでくださりありがとうございました。