小学生の高学年は思春期への入り口にいるような時期です。
子ども扱いされたくないけど、実はまだ甘えたい。でも素直に甘えられない。そんな年頃ですね。
読み聞かせを楽しみにしてくれる子がいる反面、「読み聞かせって小さい子向けみたいで恥ずかしいな・・・」という複雑な気持ちの子もいるかもしれません。
高学年になると、子どもたちは自分を投影しながら物語に入り込みます。悩んだときに乗り越える勇気や、生きていく力をもらえるような本をおすすめです。
今回は高学年の子どもたち向けに、力のある物語に最後まで惹きつけられる絵本を紹介します。
「セロひきのゴーシュ」 宮沢賢治 福音館書店
このお話はたくさんの絵本になっていますが、ぜひこちらの絵本で読んでもらいたいです。茂田井武さんの絵が動いて見えるようで、それでいて素朴です。宮沢賢治のお話の世界にぴったりで、入り込みやすいです。
「雪わたり」 宮沢賢治 福音館書店
こちらもたくさんの絵本になっています。素朴で美しい色彩の絵が、子どもたちの想像力を育ててくれます。雪の風景や月夜の幻灯会の中へ入って行けるようです。
「水仙月の四日」 宮沢賢治 創風社
水仙月は宮沢賢治が創作した月です。こちらも、魅力的な絵が絵本の世界にぴったりで、想像を膨らませてくれます。自然の優しさを感じる物語で、温かい気持ちになれます。
宮沢賢治の世界はそれぞれの読み手の感性で感じることができて、正解はありません。人と違う感想を持ってもいいのだと教えてくれます。
「ねずみとおうさま」 コロマ神父 岩波書店
スペインのこどもの王様の物語です。王様の冒険にハラハラしながら入り込めます。
おはなし全体に温かい雰囲気が漂っていて、心に響きます。
「ちいさな曲芸師バーナビー」 バーバラ・クーニー すえもりブックス
両親を亡くしたバーナビー、家もなく曲芸をしながら町から町へ渡り歩いています。
雪の中で凍えているところに、修道士が修道院へ連れて帰ってくれますが、修道院で自分が何にも役に立っていないと思って悲しくなります。
そんなときに、自分にもできる曲芸を見つけます。
バーナビーの見返りを考えず、純粋に懸命に芸をする姿に感動します。子どもにも、自分のできることを力の限りしている姿に何かを感じてもらえるでしょう。
「ゴールディーのお人形」 M・B・ゴフスタイン すえもりブックス
ゴールディーは、一人で人形を作っています。人形作りには自分なりのルールがあって、ゴールディーの心のこもった人形になります。
独自の「こだわり」を持つことは子どもによくありますね。「こだわり」には悪いイメージがありますが、「持ち味」と思って尊重する大切さを教えてくれます。
「ピアノ調律師」 M・B・ゴフスタイン 現代企画室
ピアノ調律師を目指す頑張り屋の女の子。きっかけは、ピアノ調律師をしているおじいさんの、仕事への向き合い方に感銘したからです。
ピアノ調律師がどんな仕事なのか、詳しく書かれているところも興味深いです。
家のお手伝いをしている子どもさんも多いでしょうが、社会で働く覚悟を教えてくれる本です。
リラックスして心を整える時間に
今回は、高学年の子どもたちが耳を傾けてくれるおすすめの絵本を選んでみました。
本が苦手な子どもたちにおすすめの科学写真絵本は、こちらの記事で紹介しています。
学校の行事などが忙しくなり、お子さんに疲れが出てくる時期ですね。
たまには本の読み聞かせをして、親子の時間を過ごすのはいかがでしょうか?
「高学年で読み聞かせなんて・・・」と照れくさくなるかもしれませんが、寝る前の時間に少し読み聞かせの時間をとると、子どもにとって心を整える時間になり、安心して眠りにつけます。
クラスでの読み聞かせのときは、長いおはなしの本は2度に分けて読むか、途中まで読んで「後は自分で読んでね」と言ってもいいと思います。
高学年になるとプライドがあって、絵本の読み聞かせなんて聞かないよってこちらを見てくれない子もいましたが・・・それでも耳はしっかりとこちらに向けてくれていました。
内容が難しいかなと思っても、子どもを信じて骨太な絵本を選んで読み聞かせをしてあげて欲しいです。
大人が思っている以上に、子どもは感じ取って考える力があります。しっかりと心に届くと思います。