みなさんは島と聞くと、どんな島を思い浮かべますか?
日本は、たくさんの大小の島でできていますね。
同じ日本でも、島には本土とは違った文化が凝縮されていて、触れたことのない世界が満載です。
TBSラジオ「赤江珠緒のたまむすび」で「しまずかん」の著者こにしけいさんのお話を聴いて、島の隠れた魅力を知ることができました。
今回は、
- 島マニアの原点「軍艦島」の魅力
- 不思議があふれる個性的な島3選
をご紹介します。
島マニアが惹きつけられた軍艦島
こにしさんが、「島マニア」になったのは、軍艦島に魅了されたことがきっかけです。
軍艦島は、かつて端島(はしま)という島で、外観が軍艦「土佐」に似ていることから「軍艦島」と呼ばれるようになりました。
この島は、かつて石炭採掘の拠点として日本の産業革命を支えた重要な都市でした。
しかし、1974年に住民は全員島を去り、現在は廃墟となっています。
謎に包まれ独特の世界観が広がる島から、興味深い歴史が見えてきます。
無人島になる前はどんな島だったの?
軍艦島は、長崎県に自然に存在していた6万3,000平方メートルの小さな島です。
1810年頃に石炭が発見され、採掘できることが判明しました。
1890年に三菱がこの島を買収したことで、大規模に開発されて石炭採掘が盛んになり、石炭都市となります。
開発が進むにつれて人口が増えて、最盛期は住民が5000人にもなり、人口密度は世界一を誇ったといわれています。
狭い島に高層住宅が建ち並び、島の周りの岸壁は、波を防ぐためにコンクリートの壁で覆われました。
さらに学校、病院、商店、映画館などが揃い、ほぼ自給自足の炭鉱都市となりました。
命がけの海底炭鉱
石炭採掘の労働時間は非常に長く、一日12時間の重労働が続きました。
それにもかかわらず、労働者への給料は中間で諸経費を大幅に差し引かれる仕組みになっていました。
炭鉱での作業に従事した後も、狭い住居での暮らしを強いられて心身ともに休まる時間はほとんどなかったといいます。
労働者の不満がつのり、何度もストライキが行われたといいます。
戦後に労働組合の活動が合法となったことで、給料や労働条件が改善されました。
それでも、炭鉱での労働は極めて過酷で命がけの労働でした。
1964年に、炭鉱内で自然発火が発生し、ガスが燃焼して爆発的火災が起こりました。
この事故をきっかけに、軍艦島は衰退への道をたどることとなります。
なぜ無人島になったの?
軍艦島は、石炭採掘で産業に大きく貢献してきました。
しかし、技術的進歩により、エネルギーの主力が石炭から石油に変わりました。
石油は、石炭よりもエネルギー密度が高く、同じ量でより多くのエネルギーを供給できます。
さらに、液体であるため輸送や貯蔵が容易で、特にパイプラインやタンカーを利用した輸送が効率的でした。
そのため、石炭は売れなくなり、炭鉱の需要が急減してしまいます。
炭鉱は衰退し、1974年に閉山。住民は島から退去し、軍艦島は無人島となりました。
軍艦島の魅力
無人島になり、廃墟と化した軍艦島は、2015年に世界遺産に登録され、多くの観光客が訪れています。
高層住宅や学校などの建物は老朽化し、危険な箇所が多いので立ち入り禁止エリアとなっています。
限られたエリアで、天候の安全基準を満たされれば上陸・見学が可能になります。
人々が生活していた当時の建物や施設は、島で働き暮らした人々の努力や生活の跡を伝え続けています。
不思議があふれる個性的な島3選
地理的に孤立している離島では、その島ごとに違う文化や伝統があって調べれば調べるほど面白いです。
その中でも、島マニアこにしさんがおすすめする、特に不思議で個性的な島を3つご紹介します。
謎多きミステリアスな与那国島
面積は2895k㎡で、島民は1843人です。
沖縄県で日本最西端にあり、石垣島から飛行機で30分で行けます。
テレビドラマ「Dr.コトー診療所」のロケ地になりました。
世界最大級の蛾「ヨナグニサン」が生息しています。モスラのモデルになったそうです。
明治時代まで、象形文字が残っていました。
この島の海底地形は、直線的な形の岩が広がっています。
遺跡のように見えると言われていますが、どのようにしてできたのかは解明されていません。
自然現象でできた地形なのか、人工的に作られた遺跡なのか議論されています。
また、「人減らしの裂け目」といわれる場所があります。
琉球王朝時代に、人頭税(1人あたりに決められた税金)によって生活が苦しくなり、人減らしをしていたと伝えられています。
人減らしのために、妊婦は琉球石灰岩の割れ目を飛ばされ、向こう側へ飛ぶことができた人だけ生きることを許されたと言われています。
未だに謎が多い与那国島、しまずかんでは元お笑い芸人のMr.都市伝説 関暁夫さんのキャラクターになっています。
ユーモラスなお祭りがある悪石島(あくせきじま)
面積は7.5㎢、島民は79人です。
鹿児島にあって、鹿児島港から船で10時間かかります。
飛行機のアクセスがないので、行きにくい所です。
「悪石」の由来は、島のあちこちに石がごろごろしていて、崖からも転がり落ちて危ないからという説と、平家の落人が流れ着いた島で、追手が来ないようにあえて恐ろしい名前にした説があります。
この島には、独自のお祭りがあります。
派手な大きな腰まである仮面をつけて、腰蓑をつけて棒を持った神さま「ボゼ」が毎年夏にやってきて、島民を追いかける奇祭があります。
悪霊払いのためだそうです。
しまずかんでは、悪石島はこの神さまのキャラクターになっています。
他の島にも、その島独自の神さまがいるそうです。調べてみると面白いですね。
虫に食われて消滅する!?ホボロ島
広島県にある無人島で、上陸することはできません。
地元の言葉で、竹籠をホボロと言われていて、ホボロをひっくり返したような形なのでこの名前が付けられたそうです。
ダンゴムシの仲間で、ナナツバコツブムシが数千万匹もいて、凝灰岩に穴をあけて巣穴を作るので、島がどんどんスカスカになってぼろぼろと崩れているそうです。
90年以上前は島の標高が21,9mあったのですが、今では6mになっています。
100年後には消滅すると言われています。
島の魅力を詰め込んだ「しまずかん」
日本には7000の島があります。島にはそれぞれ個性がありますが、あまり知られていません。
島の魅力をもっと多くの人に知ってもらいたいと思って作られたのが「しまずかん」です。
瀧澤章太郎さんに、島を親しみやすいキャラクターにしてもらって、島の目線で島を紹介しています。
この本では50の島を選んで紹介しています。
個性のある島はキャラクター化しやすいですが、個性がない島は、一つの特徴を見つけてデフォルメしてデザインをしました。
例えば、「奄美大島」は「太陽嫌いの南国」とキャッチフレーズを考えて、熱帯雨林のジャングルを頭につけたキャラクターにしました。
それは、奄美大島の日照時間が短く、雨が多いことで、豊かな自然が育まれているから、雨が多いことをポジティブな印象に変えるように、雨好きの子のキャラクターにしました。
「台風は最高のUVカット」と書かれています。面白い発想ですね。
島くらべのコンテンツでは、海外の島もピックアップして比較しています。
島からのメッセージに隠れた魅力
「しまずかん」 著こにしけい 瀧澤章太郎 しまもりなつこ 講談社
イラストが可愛くてとても読みやすいので、入門編としておすすめです。
表紙に載っているキャラクターを見るだけで、どの島なのだろうと興味が出てきました。
島国の日本は、島の宝庫ですね。
みなさんも、島からのメッセージを聞いてみませんか?
島に行ってみたくなること間違いなしです。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
こにしけいさん プロフィール
1990年 神奈川県生まれ
東京大学工学部建築学科卒
コピーライター
瀧澤章太郎さん プロフィール
1989年 埼玉県生まれ
東京藝術大学大学院 美術研究科卒
アートディレクター