こんにちは!元小学校教師のぽよみです。
子どもたちと過ごしていると、予想外のことがよく起こるのでバタバタと忙しいですよね。
心に余裕がなくなって、ついイライラして怒りすぎてしまうことありませんか?
「何回も注意したのに、子どもたちが授業中にしゃべり始めてしまう」
「子どもの何気ない言葉にカチンとくる」
「時間が無いときに限ってトラブルが起こる」
など、イライラする場面はたくさんでてきますよね。
そんなときは私も、「いいかげんにして!」「何度も言わせないで!」とついガミガミと怒ってしまい、後から「怒りすぎてしまった・・・」と自己嫌悪になることばかりでした。
「感情的に怒ったらいけないと頭では分かってるのに、怒りをおさえられない」と悩んでいる先生に、今すぐ役立てる本を紹介します。
この本を読むと、
怒りを感じた時の心を楽にする考え方
怒りにまかせない子どもの心に響く指導の仕方
を学ぶことができます。
伝え方を変えるだけで、先生自身がイライラしなくてよくなり、子どもにも大切なことがきちんと伝わります。もっと早く知りたかったと思うことばかりです。
私自身が経験した実例も挙げながら、今すぐ教室で実践できる方法を紹介します。
「アンガーマネジメント」は自分を生きやすくするもの
アンガーマネジメントと聞くと、無理して自分の感情を抑え込まないといけないというイメージがあるかもしれません。
私も、「感情的に怒らないように、精神力をきたえて感情をコントロールしなければいけない」と思っていました。
そうではなく、どんな時に自分が怒りを感じるのかを理解して、自分が生きやすくなるためにネガティブな感情を弱めることが「アンガーマネジメント」なのです。
「こんなことで怒って余裕を無くす自分はダメなんだ・・・」と自分をを否定しなくていいんです。
自分の感情を理解することから始めよう
怒りの裏にはさまざまな感情があって、そこに正体が隠れています。
悲しい、寂しい、悔しい、自分の中で沸き起こった感情を丁寧に感じ取って「怒りの正体」を見つける癖をつけると、自分の感情を理解できます。
日常で怒りを感じるとき、こんな気持ちが隠れているのではないでしょうか。
「こんな時間のない時にトラブルが起こさないでよ!」という焦りの気持ち
「こんなに一生懸命話をしているのにどうして伝わらないんだろう。」という悔しい気持ち
「約束したのにどうして守れないの?」という悲しい気持ち
こういう気持ちから怒りを感じた時、無理やり抑えようとせず、「自分はこんな気持ちで怒っているんだな」と感じるようにします。
「怒りの正体」をつかむだけで、怒りが爆発する前に気持ちが少し落ち着きます。
自分に心の中で「そんなこともあるよね。」「まあいっか。」などと声をかけてあげることもできます。
こうやって先生自身が自分の感情を理解することで、子どもの行動から気持ちを理解できるようになります。
子どものネガティブな感情を受けとめよう
自分の感情を理解できるようになると、子どもの感情も自然と受けとめられるようになります。
子どもがネガティブな感情を吐き出しているとき、「そんなこと言っても仕方ないでしょ」などと言って大人の理論を一方的に押し付けてしまうと、子どもは反発します。
まずは、子どもが心を開いて話すことができるように、
「大丈夫?何か嫌なことがあったんだね。」
「何か困っているのかな。心配だよ。」
「そうかあ、それは辛かったね。」
など、感情を受けとめる言葉がけをすることが大切です。
「感情を受けとめてもらえた」という経験は、子どもの思いやりを育てることにもつながります。
トラブルが起きたときは、子どもの感情に向き合おう
学級でよくあるトラブルを例に挙げてみます。
児童A「Bに叩かれた!」
児童B「だってAが嫌なことを言ってきたんだ!」
こんなとき、みなさんはどう指導しますか?
ここで、私の失敗談を紹介します。
私は、それぞれの子どもたちの話を聞き、子ども自身のよくなかった行動を自分で振り返らせてから、
「Aさんのこの言い方はよくなかったね。次からはどう言ったらいいか考えよう。Bさん、人を叩くのは絶対にやってはいけないことです。きちんと言葉で伝えよう。」
と指導し、お互いに悪かったことを謝るという流れで指導していました。
しかし、その指導ではまた違う場面で同じことを繰り返してしまい、「この前約束したのにまた!?」ということが起きていました。
その場で指導したことは子どもの心に響かず、分かっているつもりになっていたのです。
そこで教師がするべきことは、子どもの嫌だった気持ちに向き合うことです。
Bさんには「Aさんに嫌なことを言われた時どんな気持ちだったかな?」
Aさんには「Bさんに叩かれたときどんな気持ちだったかな?」
とそれぞれ気持ちを聴き、「そうか、だから嫌だったんだね」と共感して、相手の子どもにも伝えることで、
自分の気持ちを理解されたことに安心することができ、相手の気持ちも理解することができます。
怒りを感じた時の対処法
この本には、怒りを感じた時に上手に対処する方法がたくさん紹介されています。
私が実践しているのは、「すべき思考の修正」です。
例えば、「静かに」って注意しているのにおしゃべりが止まらないときに、
私は、「注意したのにどうしてやめられないの?先生に言われたことは1回で聞くべきでしょ。私の言うことは聞かなくていいと思っているに違いない」という考えがよく出てきて、イライラしていました。
そこで、「今、先生の言うことは聞くべき。という思考のクセが出ているな。この子は私の話が耳に入らないくらい夢中で話したいことがあるんだろうな。伝え方を工夫しよう。」というふうに考え方を修正するようにしています。
他にも、「きちんと説明したのだから全員できて当たり前」「悪いことをしたのなら謝るべき」「きまりは必ず守るべき」などたくさんの「~すべき」という思考にとらわれていました。
そこで一度思考を緩めて、冷静に子どもの立場になって考えることで、「~すべき」ができない理由に気付くことができます。
思い込みで決めつけて叱る前に、子どもの気持ちを理解した上で指導することで、子どもは心から納得する指導につなげることができると思います。
この他にも怒りをクールダウンする方法や考え方がたくさん紹介されいるので、自分に合った方法を実践することができます。
どの場面指導でも使える!「アサーティブコミュニケーション」
例えば、学級で授業開始のチャイムまでに全員が着席出来ていないことがあったとき、私は、「もうチャイムが鳴ってるのに、どうして時間を守れないの?」とついイライラして叱ることがありました。
そんな時に、「アサーティブコミュニケーション」を使うと、先生自身がイライラせず、子どもと建設的な話し合いができるようになります。
アサーティブコミュニケーション使った指導
①事実を述べる
例「もう授業開始のチャイムから〇分経ちましたね。チャイムまでに全員が着席できていませんでした。」
②穏やかに自分の気持ちを伝える
例「時間を守ろうってみんなで決めたのに、守れなかったのは残念です。」
③相手にどうなってほしいのかを伝える
例「先生はみんなで決めた決まりを守れるクラスになってほしいです。時間が守れない原因をみんなで考えて、どうすればいいか考えましょう」
ここで特に気をつけたいと思ったのが、「事フォーカス」の伝え方です。
私はつい、「どうして~するの!」というように、「あなたの行動に問題があるんだ!」という言い方(人フォーカス)になってしまっていました。
そうではなく、問題が起こる原因を探る「事フォーカス」の伝え方だと、子どもも一緒に解決策を考えやすいです。
「どうして時間を守れないの?」ではなく、「時間が守れない原因はなんだろう」
「どうしていつも忘れ物するの?」ではなく、「忘れ物をしないようにする方法を考えよう」
このように事フォーカスで伝えると、怒りにとらわれずに次へつながる話し合いができます。
子ども同士のトラブルを減らせる!
子ども同士でもアサーティブコミュニケーションを使うことで、気持ちいい人間関係を築くことにつながります。
学級で「こんな場面のとき、どうする?」とみんなで考える時間をとって、アサーティブコミュニケーションの練習をするのも効果的です。
よくある場面から考えてみました。
場面例:先に取ろうとしていた本を横から取られたとき
①「私が取ろうとしてたのに・・・」とうつむきながら伝える
②「私が取ろうとしてたんだから返してよ。」ときつい口調で伝える
③「それ、今私が先に取ろうとしてたんだけど、気づいてた?その本ずっと探してて読みたかったんだ。取る前に声をかけてほしいな。」穏やかに相手の目を見て伝える
このようにいくつか伝え方の例を挙げて、ロールプレイをしながら伝え方を考えると、学級で上手な伝え方を共有できます。
この本では、アサーティブコミュニケーションをつかって、子どもだけでなく、保護者、同僚、先輩、管理職とのコミュニケーションの仕方も場面の例を挙げながら紹介しています。
今すぐ実践したい!と思えるものばかりです。
上手に怒りをコントロールして、自分のことも相手のことも理解しながらコミュニケーションをとる気持ちよさを実感してほしいと思います。