イヤイヤ期の育児って、本当に大変ですよね。
言うことを聞かない子どもにイライラして、つい怒鳴ってしまって自己嫌悪。
「またイライラして怒っちゃった…」
そんな毎日に、疲れきっていませんか?
でも実は、イヤイヤ期を乗り越えるいちばんの近道は、
子どもを「待つこと」なんです。
「やらなきゃいけない」ことは、子どももちゃんと分かっています。
でもまだ、気持ちをコントロールする力=自制心は育っている途中。
だからこそ、親が焦らず見守り、気持ちに寄り添う関わりがとても大切です。
この記事では、元幼児教室講師の私が
子どもの自制心を育てるイヤイヤ期の関わり方について、
日常の「あるある場面」を例に、具体的な声かけや対応方法をご紹介します。
今日からできるヒントが、きっと見つかりますよ。
自制心を育てるイヤイヤ期の接し方
ここでは、日常で実践できる5つのポイントをご紹介します。
事前に約束・確認する
子どもは「急な変化」が苦手です。
いきなり「〇〇しよう」「帰るよ」「もうおしまい!」と言われると、気持ちの準備ができずに反発してしまうことも。
だからこそ、前もって「何を・いつまでに・どうするか」を伝えておくことが大切です。
行動の見通しが持てると、子どもは気持ちの切り替えがしやすくなります。
これは、自制心を育てる第一歩です。
穏やかに伝える
ついイライラして「〇〇しなさい!」「早くして!」と言ってしまうこと、ありますよね。
でも、命令口調になると、子どもは「いやだ!」と本能的に反発しやすくなってしまいます。
そんなときは、できるだけ落ち着いたトーンで、穏やかに伝えてみてください。
「もう帰る時間だよ」「おしまいにしようね」など、穏やかに声かけすると、自分で考えて行動する力につながっていきます。
泣いたり怒ったりしたら、気持ちを受けとめて約束をふりかえる
子どもが泣いたり怒ったりすると、思わず「泣かないの!」「怒らないで!」と言いたくなってしまいますが、これは逆効果になることも。
気持ちを否定されると、「ママはわかってくれない!」とますます感情が爆発してしまいます。
まずは「まだ遊びたかったんだね」「悔しかったんだね」と、気持ちに寄り添ってあげましょう。
子どもは「ちゃんと気持ちを分かってくれているんだ」と安心できます。
そのうえで、「でも、さっき約束したよね」と丁寧にふり返りましょう。
気持ちの切り替えを待つ
「早くして!」「もう行くよ!」と無理に動かそうとすると、子どもの癇癪がより激しくなってしまうことがあります。
また、「泣かれると困るから」と親が譲ってしまうと、子どもは「泣けば思い通りになる」と学習します。
大切なのは、子どもが自分の感情を整理できるように、待つこと。
数分だけでも、待ってあげてください。
イライラして怒るよりも、数分待つ方がずっと効果的です。
「ここで待ってるね」「落ち着いたらお話ししようね」など、子どもが安心して気持ちを切り替えられる環境をつくることで、自制心は確実に育っていきます。
前向きな声かけで行動を促す
気持ちの切り替えを後押しするには、未来に楽しみを見つけられるような声かけが効果的です。
たとえば、「今日は何して遊ぼうかな」「おうちに帰ったらおやつにしよう」など、子どもが嬉しくなるような話をすると、気持ちが前に向きやすくなります。
また、「どっちの道から帰ろうか?」「靴履く?それとも帽子からかぶる?」など、選択肢を与えることで、「自分で選べた」という感覚が自信につながり、自分から動きやすくなります。
行動に移すことができたらたくさんほめてあげてくださいね。
日常の「あるある場面」別の声かけ方法
「わかってはいるけど、実際の場面ではどうしたらいいの?」
そんなママのために、イヤイヤ期によくある日常の場面別に、自制心を育てる具体的な関わり方をご紹介します。
どれも今日からすぐ試せる声かけばかりです!
ご飯を食べるのを嫌がるとき

①事前に伝えて見通しをもたせる
「〇時になったらご飯を食べようね」
「タイマーが鳴ったらお片付けしてね」
など、前もって伝えることで心の準備ができ、自分から動きやすくなります。
② 穏やかに声をかける
「〇時になったらご飯を食べようね。タイマーが鳴ったらお片付けしてね」「帰ったらご飯にしようね」など、命令ではなく、自然な流れで伝えます。
③ 気持ちを受けとめ、約束をふりかえる
「まだ遊びたかったんだよね。でも、タイマーが鳴ったら片づけてご飯って約束だったよね」
「まだ食べたくないんだね。でもママが頑張って作ったから、温かいうちに食べてほしいな」
子どもの気持ちに共感しつつ、決めたことを優しく思い出させましょう。
④ 気持ちの切り替えを待つ
「じゃあママは先に食べて待ってるね」
「食べたくなったら、テーブルにおいでね」
自分のタイミングで動ける余白を残してあげることがポイントです。
⑤ 前向きな声かけで促す
「〇〇ちゃんの好きなハンバーグあるよ。いっしょに食べよう!」
「どっちのエプロンにする?」「ごはんとおかず、どっちから食べる?」
「選ぶ」「想像する」といった要素が、子どもの切り替えを助けてくれます。
着替えを嫌がるとき

① 事前に確認・習慣化する
「顔を洗ったら着替えようね」など、順序を伝えておくとスムーズです。
「朝のやることリスト」で、次にすることを目で確認できる工夫も効果的です。
② 穏やかに伝える
「次は何する時間かな?」「一緒に着替えよう!」
指示ではなく、問いかけたり、誘いかけたりするイメージで声をかけると、抵抗感が減ります。
③ 気持ちを受けとめ、約束をふりかえる
「着替えたくない気分なんだね。でも、お顔を洗ったらお着替えだったよね」「着替えてお出かけしようよ」
感情に共感したあとに、決めた流れを思い出させます。
④ 気持ちの切り替えを待つ
「ママは先に着替えて待ってるね」
「準備できたら声かけてね」
自分のペースで動けるよう、少し距離を取ってあげるのも効果的です。
⑤ 前向きな声かけで促す
「着替えたらお外に行こう!」
「今日は保育園で何して遊ぼうか?」
「どっちのTシャツ着ていく?」
未来の楽しみや自分で決める選択肢が、子どもの行動のきっかけになります。
公園から帰りたがらないとき

① 事前に約束・確認しておく
「〇時になったら帰ろうね」
「あと10分だよ。タイマーが鳴ったら帰ろうね」「滑り台あと3回でおしまいね」
予告があることで、子どもも気持ちの準備ができます。
② 穏やかに伝える
「帰る時間になったから、おしまいにしようね」
あくまで落ち着いた口調で。子どもが自分で納得して動ける土台になります。
③ 気持ちを受けとめ、約束をふりかえる
「まだ遊びたかったよね。でも、〇時に帰るって約束したよね」
気持ちを理解したうえで、約束に立ち返ることが大切です。
④ 気持ちの切り替えを待つ
「泣きたい気持ち、わかるよ。落ち着いたらお話しようね」
子どもが自分の感情を整理する時間を、そっと見守りましょう。
⑤ 前向きな声かけで促す
「おうちまで競争しよう!」
「帰り道でバス見られるかも!」
「どっちの道を通って帰ろうか?」
行動に前向きなイメージを持てる声かけが、自然な切り替えにつながります。
お友だちのおもちゃを使いたくて怒るとき

① 事前に伝えておく
「お友だちが使っているときは、『貸して』ってお願いしようね」
「もしお友達が『イヤ』って言ったら、終わってから順番で遊ぼうね」
事前の確認で、「ルール」が心に残りやすくなります。一緒に遊びながら練習してみるのも良いですね。
② 穏やかに伝える
「『貸して』って言ってみようか」
「お友だちが終わってからにしようね」
落ち着いて伝えることで、子どもも感情を整えやすくなります。
③ 気持ちを受けとめ、約束をふりかえる
「これで遊びたかったんだね。でも、今はお友だちが先だったから、順番に使うんだよね。」
気持ちを代弁しながら、ルールをふりかえってあげましょう。
④ 気持ちの切り替えを待つ
もし、人を叩いたり物を投げたりする場合は、
「叩かないよ・投げないよ。危ないからこっちで待とうね」
と、安全な場所に移動して落ち着くのを見守ります。
⑤ 前向きな声かけで促す
「待ってたら、また遊べるかもね。ママと一緒にあっちで遊ぼうか?」
「他のおもちゃも面白そうだよ!どれがいいかな?」
気持ちをそらしつつ、自分で選べるようにするのがポイントです。
テレビや動画を見るのをやめられないとき

① 事前に約束・確認する
「今日は〇時までね」
「この1話だけ見たら終わりにしようね」
「タイマーが鳴ったらおしまいにしよう」
事前に「時間」や「回数」で区切りをつけることで、見通しが立ち、自分で気持ちを切り替える練習になります。
② 穏やかに伝える
「タイマーが鳴ったから、終わりの時間だね」
「楽しかったね。今日はここまでだよ」
「もうおしまい!」「何回言ったらわかるの!」ではなく、淡々と穏やかに伝えるのが効果的です。
③ 泣いたり怒ったりしたら、気持ちを受けとめて約束をふりかえる
「まだ見たかったんだよね」
「でも、さっき1本見たらおしまいって約束したよね」
「続きが気になるよね。でも、明日のお楽しみにとっておこうか」
気持ちを共感しながら、約束を丁寧に振り返ることで、ルールを守る経験が積み重なります。
④ 気持ちの切り替えを待つ
「気持ちが落ち着いたら、教えてくれる?」
「ママはこっちでおままごとしようかな。一緒に遊びたかったらおいでね」
ぐずったり怒ったりしても、無理に止めさせるより、「自分のタイミングで切り替える経験」が自制心を育てます。
⑤ 前向きな声かけで行動を促す
「ママと一緒に遊ぼうか。どのおもちゃで遊ぶ?」
「ごはんの前にお手伝いしてくれると助かるな」
「一緒にお風呂に入ろうか!おもちゃ浮かべて遊ぼうよ。」
次の楽しいことを提案すると、気持ちが前に向きやすくなります。
これらの対応は、「泣かせない」「言うことを聞かせる」ためのテクニックではありません。
自分の気持ちをコントロールして動ける子へと育てるための、大切な土台作りです。
ママの関わりのひとつひとつが、子どもの成長につながっています。
うまくいかない日があっても大丈夫!
イヤイヤ期の子どもに対して、つい感情的になってしまう…
そんな日があって当たり前です。誰だって完璧な親ではありません。
私自身も、分かっていても怒ってしまうことはたくさんあります。
でも、「待つ」「共感する」「前向きな声かけをする」
こうした関わりを少しずつ積み重ねていくことで、子どもは自分の気持ちと向き合い、コントロールする力=自制心をゆっくりと育てていきます。
うまくいかない日も、うまくいった日も、すべてが大切な学びの時間。
子どもだけでなく、親自身も一緒に少しずつ成長していけるのが、イヤイヤ期の子育ての面白さでもあります。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。



