【小学校の学級経営】「叱る場面」と「教える場面」の違い

先生向け

一日が終わって、「今日はずっと叱ってばっかりだったな・・・」と反省した経験はありませんか?

もちろん、場面によっては厳しく叱って指導することは必要です。

ですが、子どもの行動や心情によっては、厳しく叱るよりも穏やかに教える対応の方が適している場面もあります。

そんな時に厳しく叱ってしまうと、子どもは怖く不安に感じて、自尊心が傷ついてしまうことがあります。

今回は、穏やかに教える場面と、叱る場面について説明します。

穏やかに教える場面

ケガや事故につながったり、他の人を傷つけたりする行動などでない場合は、下記のような場面が「教える場面」に適しています。

自分がしたことが悪いことだと気づいていないとき

子ども自身が悪いことをしたことに気付いていないときは、穏やかに教えて気付かせるようにします。

子どもが何気ない行動で周りに迷惑をかけてしまうことってよくありますよね。

たとえば、「子どもが何気なく言った言葉で嫌な気持ちになった」「グループ活動中につい楽しくてはしゃいでしまい、周囲を困らせてしまった」など、

子どもは、周りのことに考えが至らず行動してしまうことが多いです。

そんなときにいきなり叱ってしまうと、「そんなつもりなかったのに先生は分かってくれないんだ・・・」と心を閉ざしてしまいます。

また、「自分は悪くない!」と聞く耳をもとうとせず、素直に自分の良くなかったところを認めにくくなります。

そんなときは、「アサーティブコミュニケーション」を使いましょう。

まず、「今○○と言われて嫌な気持ちになったよ」というように、事実と自分の気持ちを子どもに伝えます。

次に、「そういうときはこういうふうに伝えてくれると嬉しいな」と、これからどうして欲しいかを伝えます。

そうすると、「よくなかったこと」「これからどうして欲しいか」をイライラせずに伝えることができて、子どもが納得しやすくなります。

わざとしたことではなく、自分が悪いと気づいているとき

子どもがわざとではなく何か失敗してしまった時は、失敗した理由を聞いて、次はどうしたらいいのかを一緒に考えましょう。

例えば、子どもが手を滑らせて給食をこぼしてしまったとき、

「何してるの!」「だから気をつけなさいと言ったのに!」と怒りたくなってしまうかもしれません。

でも、子どもは失敗したくてしたわけではありません。

「やってしまった・・・」「どうしよう」と感じていることが多いです。

そこで強く責めてしまうと、「悪いことをしてしまったのは分かっているからそんなに怒らないで!」と辛い気持ちになってしまいます。

そんなときは失敗したことを責めるのではなく、防ぐ方法を考えることのほうが重要です。

まず、「大丈夫?どうしてこぼしてしまったのかな?」「次からはどうしたらこぼさずにすむかな」と穏やかに問いかけるようにします。

「次からは給食を運ぶときは周りをよく見るようにしようね」「しっかり両手を話さずに運ぼうね」と防ぐ方法を確認します。

子どもの特性による行動の場合

「話を聞くことが苦手」「じっとしていられない」など、子どもの特性によるものの場合は穏やかに粘り強く指導します。

「子ども自身が困っている」と考えて、その子に合った対応をすることが大切です。

直前までできていたことを認め、今するべきことを短い言葉で伝えるようにします。

子どもが席を立ったとき、いきなり「座りさい!」と叱ってしまうと、子どもは「できない自分はだめなんだ。」と思い苦しむことになります。

余計にその行動を繰り返すようになり、先生の言うことを聞こうとしなくなるため逆効果になります。

子どもが席を立ってしまったら、そばに行って子どもに視線を合わせます。

「さっきまでちゃんと座っていたね。」と直前まで座っていたことを認めます。

「今は話を聞くときだから座ろうね。」と穏やかに伝え、座ることができたら褒めます。

「今は話を聞く時間」とはっきり分かるように、絵のカードを見せて視覚的に伝えるなど、

指示や説明の仕方をその子に合った方法にする手立ても大切です。

先生に見てほしい気持ちで行動しているとき

子どもが「先生に見てほしい」という気持ちで、注目を集めようと行動している場合は、毅然と根気強く指導します。

この場合、子どもは先生が自分を認めてくれるかどうか不安な気持ちでいます。

近くに行って目を見て、「それは○○だからやめよう。」とその行動がだめな理由を伝えます。

そして、「今は○○しよう。」と、今することを丁寧に伝えます。

子どもが行動に移すまで根気強く、繰り返し穏やかに伝えます。

行動に移せたらすぐほめるようにしましょう。

問題がある行動を減らすためには、良い行動を見つけたら積極的に褒めることが大切です。

「先生が自分を見てくれて、認めてくれている」という安心感を与えると、自然と落ち着くようになります。

叱る場面

叱る必要がある場面は、このような場合です。

  • 悪いことだと分かっていてしたとき
  • ケガや事故につながる危険な行動をしているとき
  • 人を傷つけることをしたとき

叱るときはその行動だけを叱り、なぜしたのか理由を聞きます。

そして、何がよくなかったのかを話を整理しながら振り返ります。

自分で気づけるように「あなたはどう思う?」「友達はどう思うかな?」と問いかけます。

最後に、次からはどうするかを一緒に考えます。

長々と叱らず、終わったらすぐに切り替えることが大切です。

叱った後はすぐリセットして笑顔になると子どもは安心します。

また、叱った子どもへのフォローも忘れないようにしましょう。

叱らなくてもいい場面で頑張りを見つけて積極的にほめたり、一緒に遊んだりすると、子どもと良い関係を築くことができます。

先生との信頼関係を築けると、子どもは叱られても素直に聞き入れることができるようになります。

子どもを理解する姿勢が大切

教師はいつでも子どもの行動の背景に目を向けることが大切だと感じます。

「何をやってるの!」と叱りたくなるようなことでも、子どもに理由を聞いてみると悪気がなかったり、よかれと思ってしたことだったりします。

叱る前に一呼吸おいて、子どもの言葉に耳を傾けて理解する姿勢が大切です。

この記事が少しでも参考になれば幸いです。

 

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