松岡享子さん訳・作の絵本と大人向けの手引書を紹介します

先生向け

今回は、児童文学者の松岡享子さんが手がけられた本をご紹介します。

多くの児童書を手がける松岡享子さんの文は、言葉に触れる楽しさを感じさせてくれて、子どもの心に残り続けています。

私たち大人にも松岡享子さんのメッセージは心に響き、子どもたちの明るい未来のためにできる事を教えてもらえます。

この記事では、松岡享子さんが翻訳・制作された絵本と、保護者や先生におすすめの手引書をご紹介します。

ぜひ多くの方に知っていただきたいです。

松岡享子さんが翻訳された絵本

「うさこちゃん」シリーズ  ディック・ブルーナ 福音館書店

ミッフィーちゃんで知られていますが、原書では「NIJNTJE」(ナインチェ)となっていて、意味は「ちいさなうさぎ」です。
初期は石井桃子さんが訳されていて、松岡さんが引き継いで訳されています。
赤ちゃんでもはっきりと感じられる絵で、文はわらべ歌のようにリズムがあって心地よいです。
子どもが初めて出会う絵本にぴったりです。

 

くまのコールテンくん ドン・フリーマン 偕成社

おもちゃ売り場にいるコールテンくん。ズボンのボタンが取れていて、買ってもらえません。心優しい女の子がおこづかいを持って来てくれます。そして女の子はボタンを付けなおしてくれます。その時にコールテンにかける言葉がいいのです。何度読んでも温かい気持ちになります。心が通じ合ったともだちっていいなあと思えます。

 

さるのオズワルド  エゴン・マチーセン こぐま社

さるたちが楽しくおしゃべりをしていると、いばりやのボスざるがやってきます。みんな嫌な思いをいています。オズワルドがある一言を叫ぶとみんなの気持ちが一つになります。自分の気持ちをはっきり伝える勇気をもらえる物語です。
物語の面白さだけでなく、言葉遊びが散りばめられた楽しい絵本です。

 

おさるとぼうしうり  エズフィール・スロボドキーナ 福音館

帽子を頭の上に高く高く積み上げて、売り歩いている帽子売りが、木の下で昼寝をしているうちに、帽子を木の上のおさるに取られてしまいます。
どうやっておさるから帽子を取り返すことができたのか、ユーモアたっぷりの楽しいお話です。読み聞かせをすると子どもたちが喜んで盛り上がります。

 

二ひきのこぐま  イーラ こぐま社

上野の双子パンダ、かわいいですね。この絵本は写真に物語をつけています。子どもたちは、こぐまたちに自分を重ねて生き生きとした自然の冒険に入り込めます。愛らしい二匹のこぐまたちが大人も子どもも大好きになることでしょう。

 

ねこのくにのおきゃくさま  シビル・ウェッタシンハ 福音館書店 

海の向こうから、ねこの国にやってきた二人組。お面で顔を隠しています。真面目なねこたちは、働くばかりで楽しみを知りません。二人組は歌や踊りをねこたちに披露します。二人は人気者になりますが、意外な正体です。絵が華やかでねこたちの表情が豊かです。
お面を被った二人の正体に、子どもたちは興味津々で惹き込まれます。

 

きつねのホイティ  シビル・ウェッタシンハ 福音館書店 

食いしん坊のきつねが、おかみさんたちをだまして食べ物をもらいます。始めはだまされたふりをしていたおかみさんたちですが、きつねがエスカレートしていきます。おかみさんたちはきつねに仕返しをすることに・・・
美しいスリランカの風景が鮮やかに描かれています。おおらかで思いやりのある人間性が伝わってきます。日本とは違う暮らしのようすや民族衣装など、外国の文化に触れるきっかけにもなります。

 

番ねずみのヤカちゃん  リチャード・ウィルバー 福音館書店

ある家の壁の隙間に暮らしているねずみの一家は、家主に見つからないように気をつけています。しかし、すえっこのヤカちゃんは大きな声で話すので、お母さんねずみはハラハラしています。
どの年代でも楽しめるおはなしで、コロナ禍で制限のある生活をしている子どもたちのストレス解消になると思います。

 

まつぼっくりのぼうけん  ブリギッテ・シジャンスキー 瑞雲舎

子どもたちにとって身近なまつぼっくりとどんぐりが壮大な冒険をします。
絵が美しく引き込まれます。物語が苦手なお子さんでも楽しめる絵本です。何かに迷ったとき、自分で選んで行動する勇気をもらえます。

 

「くまのパディントン」シリーズ  マイケル・ボンド 福音館書店

映画にもなっている名作で、読み始めると最後まで惹き込まれ、子どもたちが夢中になれる物語です。小学生高学年から楽しめます。何かと騒動を起こすパディントンですが、憎めないキャラクターで周りを和ませる魅力があります。何か失敗しても、周りに愛される力があれば上手くいくかも!と元気をもらえます。

 

本はこうしてつくられる  アリキ・ブランデンバーグ  日本エディタースクール出版部

本がどうやって制作されるのか、その過程を詳しく説明してくれます。絵がコミックのようなコマ割りになっているので、読みやすく分かりやすいです。大人が読んでも好奇心を満たされます。

松岡享子さんが創作された絵本

とこちゃんはどこ  福音館書店

赤いぼうしのとこちゃんをさがす絵本です。加古里子さんの絵でおもしろさ倍増です。ゲーム感覚で遊べて、親子で楽しめます。

 

みしのたくかにと  こぐま社

窮屈な生活で元気のなくなった王子様。畑に立てられた札を見て、書かれていた「みしのたくかにと」が食べたいといいます。はたして何なのか?ワクワクします。
勉強も大事ですが、自由にのびのびと遊ぶことで学ぶこともたくさんあると気付かせてくれます。

 

おふろだいすき   福音館書店

男の子のまこちゃんは一人でお風呂に入りましたが、湯舟からカメ、ペンギン、アシカ、カバがざぶんと出てきます。身近なお風呂での大冒険に子どもたちはドキドキします。空想の世界に入り込めて、何度でも読みたくなるぐらい大好きになります。お風呂が楽しくなりそうです。

 

うれしいさん かなしいさん  東京子ども図書館

うれしいさんが気持ちよく散歩をしていると、頭をぶつけて、かなしいさんになります。
うれしいとかなしいが交互にあって、泣いたり笑ったり。前からと後ろから読むようになっている仕掛けが楽しくて、何度も読みたくなります。
最後のページで松岡さんからのメッセージを感じます。小さい子どもにも理解しやすく、大きくなっても深く意味をくみ取れるような絵本です。

 

それほんとう?  福音館書店

1ページの文章がすべて同じ文字で始まっていて、ワクワクします。「あ」から「わ」が全部書かれています。声に出すととどんどん読みたくなります。言葉遊びを自分で考えたくなって、言葉への興味が湧いてきます。長新太さんの挿絵が楽しさを増してくれます。

 

なぞなぞのすきな女の子  学研

なぞなぞの大好きな女の子が、なぞなぞでオオカミをだまします。すっきりできるおはなしです。
なぞなぞを作るコツもわかるかも。親子や友達同士でなぞなぞを出し合うのもいいですね。一気に読んでしまうぐらい夢中になれて、本が苦手な子どもも楽しめます。

 

かえるがみえる  こぐま社

かえるがみえる かえるにあえる かえるがかえる と韻を踏みながらもしっかりと物語が進んでいきます。〇えるという言葉がこんなにあるのかと感心します。語呂が心地よくて知らない言葉も耳に残りやすいです。子どもに難しい言葉はさりげなく説明を入れるといいですね。馬場のぼるさんのほのぼのとした絵がいいです。

保護者・先生向けの手引書

長年、児童文学に関わり、研究を重ねてこられた松岡享子さんからの教えは珠玉です。子どもたちを愛し、本を愛する松岡さんが、わたしたちの背中を優しく押してくださいます。

 

「えほんのせかい こどものせかい」 日本エディタースクール出版部

読み聞かせをするなら読んでおきたい一冊です!読み聞かせのコツや上質な絵本の選び方を解説しています。子育て・教育の参考になる内容なので、子どもにかかわる保護者や先生にもおすすめです!

 

子どもと本」 岩波書店

子どもに関わる方必読です!児童書や子どもの言葉の発達について本格的に勉強できるので、何度も読みたい一冊です。専門的な内容になっていますが、エッセイ風でとても読みやすいです。

 

「サンタクロースの部屋 子どもと本をめぐって」 こぐま社

子育てのヒントになる一冊です。子どもが子どもらしく、子どもならではの想像力を持つことの大切さを教えてくれます。子どもの想像力を育てるために大人ができる事が分かり、迷った時の道標になります。

 

「お話を語る」・「お話を子どもに」 日本エディタースクール出版部

ストーリーテリングを始める前におすすめの入門書です。子どもたちにお話を届けるストーリーテリングは我流では難しいですね。この二冊を読んで実践して、楽しいおはなしの時間にしてください。

ご興味がある方はぜひ「東京子ども図書館」へ

松岡享子さんは、米国の大学院で児童図書館学を学び、都内で松の実文庫を開設されました。

その後、「くまのプーさん」など多くの翻訳や児童書や絵本を創作された石井桃子さんと「東京子ども図書館」を作られ、長年理事長を務められました。

文化功労者が児童文学の分野から選出されたのは初めての事です。

東京子ども図書館のHPに特集ページがありますので、ぜひご覧くださいね。

文化功労者 松岡享子名誉理事長 特集ページ | 東京子ども図書館 (tcl.or.jp)

機会があれば、ぜひ東京子ども図書館へ行ってみてください。素敵な図書館です。

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