今回の記事では、高学年向けの読み聞かせにおすすめの本をご紹介します。
高学年になると、幼い頃に比べていろいろな感情を持つようになり、作者からのメッセージを理解して受け取れるようになってきます。
子どものときに読書を通して体験した感動や発見は、大人になってもずっと残る財産になります。
この時期にたくさんの良い本に触れて、心を豊かに育てていきたいですね。
ご家庭や学級などの読み聞かせに役立てていただけたらと思います。
高学年の読み聞かせにおすすめの本
「地球家族―世界30か国のふつうの暮らし」 TOTO出版
持ち物をじっくりと見ていると、その国の人々の価値観が想像できます。召使いがいて、高級車を何台も持っている家庭にびっくり。それもその国では平均的な生活なのです。第一夫人、第二夫人とその子どもたちが仲良く暮らしている国。古い家具を大切に使うことが当たり前の国。興味深くて新発見ばかりです。
「きょうというひ」 荒井良二 BL出版
特別な日ではないけれど、この絵本の女の子にとっては大切な日のようです。ひたすら祈りながら、ろうそくを灯しています。
変化のない普通の日こそ、平和に一日が終わったことに感謝したいなと感じさせられます。
「たいせつなこと」 マーガレット・ワイズ・ブラウン フレーベル館
美しい絵と、厳選されたと感じる言葉が素敵な絵本です。数年ごとに読むとその度に違った感情が湧いてくると思います。長く友だちになれる絵本です。
「メアリー・スミス」 アンドレア・ユーレン 光村教育図書
メアリー・スミスは実在の人物です。職業は「めざまし屋」。夜が明けぬうちに家を出て、よその家の窓に、チューブから勢いよく豆を吹き飛ばしてぶつけるのです。信頼できる時計が無かった時代には、こうして起こしてくれる人がいたんですね。
「月夜のみみずく」 ヨーレン 偕成社
「そんなときなんていう?」 セシル・ジョスリン 岩波書店
「ゆかいな れいぎさほうのほん」と表紙に書かれています。いろいろな状況でどう言ったらいいのかが、ユーモアたっぷりに書かれています。お子さんと一緒に考えると楽しいですね。センダックの絵がぴったりです。
「おおきな木」 シェル・シルヴァスタイン 篠崎書林
りんごの木は、かわいいちびっこと大の仲良し。ちびっこは大きくなってもうりんごの木とは遊ばなくなります。ある日、大人になってやってきて、お金が欲しいといいます。りんごの木は自分のりんごをすべて与えます。その後、要求は大きいものになっていきます。
自分たちにもりんごの木のような存在がいることに気がつくでしょうし、いずれ自分がりんごの木のような存在になっていくのだと思って欲しいです。
「しごとをとりかえた だんなさん」 ウィリアム・ウィースナー 童話館出版
同じ仕事をしていると慣れているので手際よくできますが、それを考えないだんなさんは、おかみさんの仕事が楽そうに思えて、交換しようといいます。しかし、想像力がなさすぎなのか、とんでもないことになります。笑えるおはなしです。
「どうぶつのこどもたち」 サムイル・マルシャーク 岩波書店
シュールなブラックユーモアのあるおはなしです。表紙を見ると幼い子ども向けに見えるので、高学年で読み聞かせをするときには、「このお話は、大きい子じゃないと分からないんだよ」と言って、自尊心をくすぐるとよく聞いてくれます。
三国志絵本 唐亜明 岩波書店
全3冊です。三国志に触れるきっかけになる絵本です。絵を見るだけでも中国の歴史を感じることができます。子どもにも分かりやすく、面白さが伝わります。
「しあわせの石のスープ」 ジョン・J・ミュース
ある中国の村に3人のお坊さんが着きます。その村では人々が閉じこもっていて村人同士の付き合いがありません。見かねたお坊さんたちが石のスープを作ります。村人たちは気の毒に思って食材を持ち寄ってスープに入れてくれました。
人物の豊かな表情が描かれています。人とともに生きる幸せを教えてくれます。
「天の火をぬすんだウサギ」 ジョアンナ・トゥロートン 評論社
地上に火がなかったころのおはなし。天の人からウサギは火を盗んできます。そして動物たちがリレーして火を隠します。森に隠したので、木と木がこすれて火がつく理由が分かります。
テンポよく進んでいく物語をハラハラしながら楽しめます。
「シンドバットの冒険」 ルドミラ・ゼーマン 岩波書店
エキゾチックな絵をじっくりと見てもらいたいです。訳者の脇明子さんの文章がとても読みやすく、物語にひきこまれます。
他に「シンドバッドの怪物の島」「シンドバッドのさいごの航海」があります。
「ギルガメッシュ王ものがたり」 ルドミラ・ゼーマン 岩波書店
古代メソポタミアの王ギルガメッシュは、人間らしい心がありません。そんな王が人間として成長していくおはなしです。絵が素晴らしく、メソポタミアを感じることができます。
続編に「ギルガメッシュ王のたたかい」「ギルガメッシュ王さいごの旅」があります。
「みまわりこびと」 アストリッド・リンドグレーン 講談社
「やかまし村シリーズ」の作者が書いています。ある農場でみんなが寝静まった真夜中に、小人が見回りにきます。牛、馬、羊、にわとり、そして人間にそっと寄り添って話しかけます。自分のところへも小人がきて、優しく話しかけてくれていると思うと、心が温かな安心感で満たされます。小人は目には見えませんが、雪に足跡を残します。雪が降ったら探してみたくなります。
他にも、こちらの記事で高学年向けの物語や科学写真絵本の紹介をしています。
高学年になっても読み聞かせは大切な時間
今回は、高学年向けの読み聞かせにおすすめの本を紹介しました。
低学年・中学年向けの絵本はこちらで紹介しています。
高学年の子どもたちも、読み聞かせをすると喜んでくれます。
大人びてきて、よそよそしくなったように見えても、素直な心や甘えたい気持ちが残っています。
あっという間に過ぎていく子どもの時間をたっぷり過ごさせてあげましょう。
尊敬する石井桃子さんの言葉です。
「子どもたちよ。子ども時代をしっかりと楽しんでください。おとなになってから、老人になってから、あなたを支えてくれるのは、子ども時代のあなたです」
子どもの頃に読書を通してたくさん発見し、考えた体験は生きる糧になるはずです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。